保育現場の体験に学ぶ-枡岡由美先生による「出張保育研修」レポート
更新日:2019/01/03
目次
「出張保育研修」レポート
ソラストは、医療・介護・保育の現場で活躍する「きらめいと」をどう育てているでしょうか?ソラストの教育・トレーニング現場を体験するこのシリーズ。今回は、現場実習の一例として「出張保育研修をレポートします。
出張保育研修とは?
講師が各園に出向き、実践的な研修を通じて保育内容の充実と保育スキルの向上を図ります。講師は、「保育リーダー育成ゼミ」でもご紹介した枡岡由美先生(以下、ゆみ先生)。保育雑誌などでも知られる保育のプロ中のプロです。音楽の持つ効果を活かしたリトミックや絵画、お散歩など、毎回研修内容を変え、複数回にわたり実施されます。
今日のテーマは「自分だけの色を作る」

今回は絵画研修。三原色の絵の具と障子紙を使って、いったい何が始まるのでしょう?
「テーマは、色を楽しみ、色を感じ、自分だけの色を作る。今日も何が起こるかわからないわよ~」とゆみ先生は早くも楽しそう。
今日のテーマは「自分だけの色を作る」

「始めるよ~!集まって~!」のかけ声もないまま、ゆみ先生は突然キーボードで曲を弾きはじめました。部屋の隅っこにいた子どもたちは「なんだろう?」とモゾモゾし出し、自然に集まってきます。
さらに、ゆみ先生の「ホッ?!」「あれ~っ?」などのかけ声やジェスチャー、表情、視線の動き、流れてくるメロディやリズムを全身で感じ、子ども自身の感性で自由に表現しはじめます。声を出したり、踊ったり、見えない何かを追ってみたり、子どもたちの表情は実にイキイキしています。


講師の保育に普段の自分を重ね合わせてみる

一方、先生方はゆみ先生の保育に初めて触れ、保育士としてどんなふうに動くべきか、それぞれに試行錯誤している様子。
そのうちにゆみ先生の自由な発想に引き込まれていき、子どもたちと一緒にからだを動かし、子どもたちの楽しい気持ち、うれしい気持ちに共感することの大切さに気づきます。こうして自分たちの保育を客観的に見つめられるのが、現場研修の大きな意義なのです。
歌と絵画が同時進行だっていいはず

子どもたちが思い思いにからだを動かしている間に、雲に見立てた障子紙が登場。スルスルスル~ッと雲が長く横に伸びていき、子どもたちの頭上に舞い降りてきます。
ここでも、「次はお絵かきの時間ですよ~!」などというかけ声は一切ありません。「日本人は何かと縦割りが好きだけど、たとえば歌と絵画を明確に分ける理由なんてないでしょ」というのがゆみ先生の持論。
歌を聴き、水に触れ、からだを動かして、色を作る

雲に気を取られている間に、ゆみ先生はスポンジに水を含ませ、ポタン、ポタンと紙の上に落としていきます。「あれっ?なんだ?雨?」
スポンジと水の入った容器が配られ、子どもたちがスポンジと紙と水の関係を自由に楽しんでいるところへ、いよいよ三原色が登場。ゆみ先生は色にちなんだ歌を歌いながら、黄・青・赤の順に「色」を配っていきます。

子どもたちの遊びを通して、いろんなことが見えてくる
思い思いのことをしている子どもたちに共通するのは、「楽しんでいる」ということ。
手のひらを不思議そうに眺める子、汚れないように気にしながら慎重に塗る子、トントン叩くように色を乗せる子、腕を大きく動かして色を塗り込む子、紙よりむしろ容器の中で混ざり合う色を楽しむ子、手のひらで色を作り出す子。一人ひとりが自分の感じたままに、自分のやり方で、自分だけの色の世界を築いています。
「ここから、家での様子や親子のかかわりが見えてきたり、発達状況を確認できたりするのよ」とゆみ先生。




子どもがなにげなく発した言葉に隠れた大切なこと

白い紙がたくさんの色で染まった頃、ふわり。「雲をお空にかえしてあげよ~か」とゆみ先生。このとき、一人の子が発した「また会えるかな~?」という言葉にハッとしました。最初から紙と絵筆を用意され、「はい、3つの色を使ってお絵かきをしましょう」というやり方では、絶対に出てこなかった言葉です。
さまざまな遊びの要素を組み合わせることで、そこに物語が生まれ、子どもたちはいつの間にか雲と遊んでいたのです。
遊びきった、やりきった子どもたちには自信が満ちている
天井に吊り下げられた長い障子紙は、まさに作品。端から順に追っていくと、年齢の違いによる変化にも気づきます。自分が作った色を見上げる子どもたちに、ゆみ先生の「遊びきる、やりきる、子どもを信じきる」という言葉を思い出しました。




手のひらは大切なコミュニケーションツール
絵画実習後、ベビーマッサージの資格を持つゆみ先生から、ベビーマッサージの講習を通じてタッチケアの大切さを学びました。


「手で何を感じる?何を伝えられる?愛よ」
[講師プロフィール]枡岡由美先生

保育雑誌などでも有名な保育のプロフェッショナル。チャーミングな笑顔と歌うような語り口で、保育の楽しさ、すばらしさ、難しさを伝える達人です。何が起こるかわからない、気づきや驚きに満ちた研修を展開しており、受講生からは「ゆみ先生」と慕われています。 <略歴>武蔵野音楽大学 音楽学部声楽科卒業後、共立女子大学院 家政学研究科児童学専攻修了。オーストラリアにてピーターウォーカーよりベビーマッサージを学び、トレーナー資格を取得。その他に、保育士資格、中学校・高校教諭免許を持つ。元社会福祉法人認可保育園園長、現「保育・教育実践活動研究所アトリエ45」主宰。
「きらめいと」とは?
「きらめいと」とは、ソラストで働く仲間たちの総称です。由来は、輝きを意味する「きらきら」と、英語の「mate(仲間)」。20年以上前、社内報の名称として社内公募から生まれた「きらめいと」は、いまやソラスト社員の代名詞ともなっています。
実際にソラスト社員は、それぞれが自分にふさわしい活躍の場を得て、きらきらと輝いています。一人ひとりが仲間意識を持ち、チーム一丸となって働いています。
人を元気にし、あしたを元気にするソラスト。多くの「きらめいと」が支えています。
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