保育士として子どもたちの安全に責任を持つ-「小児MFA研修」レポート
更新日:2019/01/03
目次
座学と実技の組み合わせで、頭で理解した緊急時の対応を体に叩き込む
たとえできることがなくても、知っているのと知らないのでは大きな違い
保育スタッフ「小児MFA研修」レポート
ソラストは、医療・介護・保育の現場で活躍する「きらめいと」をどう育てているのでしょうか? ソラストの教育・トレーニング現場を体験するこのシリーズ。今回は、常勤の保育士を対象とした「小児MFA研修」をレポートします。
小児MFA研修とは?
MFAとは、メディック・ファースト・エイドの略で、1976年にアメリカで誕生した応急救護手当の訓練プログラムです。小児MFAは小児救急救護法とも呼ばれます。ソラストの保育園は、安心してお子さまを預けていただけるように、常勤の保育士として採用されたスタッフ全員が小児MFA研修を受講し、緊急時の対応能力を強化しています。
保護者のみなさまの安心感、信頼感につながる安全への取り組み
たくさんの子どもたちをお預かりする保育園では、日常的にさまざまなハプニングが発生します。突発的な病気や体調不良だけではありません。活動中、万が一のけがや事故などが発生した場合にも、慌てることなく冷静かつ適切な処置ができる態勢が必要不可欠です。
ソラストの保育園では、安心・安全への取り組みのひとつとして、常勤スタッフ全員に「小児MFA研修」を義務付けています。大切なお子さまをお預かりする保育園として、少人数制で目の行き届く保育を実現するだけでなく、スタッフ全員がプロフェッショナルとして予期せぬ事態に対処するスキルを身に付け、保護者のみなさまの安心感や信頼感につなげるためです。
座学と実技の組み合わせで、頭で理解した緊急時の対応を体に叩き込む
ソラストの小児MFA研修は、社外から救急法インストラクターを講師に迎え、初めて受講するスタッフ向けの「新規研修」は2日間、2年ごとに受講する「更新研修」は1日の日程で実施。テキストとビデオを使用した基礎知識の理解と、講師による解説と実演/実技を組み合わせ、現場ですぐに活用できる高い実践力を身に付けます。
「日本では、さまざまな原因で0~6歳児の子どもが年間約900人も死亡しています」という講師の説明に、日々たくさんの大切な命をお預かりしている保育士たちの表情が引き締まります。
さらに「ケガや事故を発見したときから、救急隊や専門家にバトンタッチするまでの間に救急法を適用できるかどうかが分かれ目。正しく適用できれば、後遺症を残さない、息を吹き返すなど、より良い方向へと導くことができます。その大切さを理解するだけならビデオでも十分ですが、どんなとき、どうすればよいか、感覚をつかむには、体で覚えるのが一番です」と、実技研修の重要性を強調します。



たとえできることがなくても、知っているのと知らないのでは大きな違い
研修は、応急手当の大切さに始まり、目の前で起きていることの適切な評価、救助にかかわる人たちの安全の確保、基本的な動作の手順、さらには心肺停止状態にある場合に蘇生率を高める方法の解説へ。
たとえ何もできなくても、ちょっとした様子の変化を見過ごさないことが大事であること、救助する側にも感染やケガのリスクが潜んでいること、10分を超えると蘇生が難しくなること、大人と子どもでは蘇生の手順が異なることなど、保育士に限らず、家族の一員としても身に付けておくべき知識がぎっしり。
小さなことに思えても、こうした学びの機会がなければ、心の準備はもちろん、現場での備えもなかなか進みません。たとえば、次のような知識も、知っているのと知らないのとでは大きく違ってきます。
- 応急手当では、呼吸や心臓の状態を伝える、救急車を呼んでもらうなど、かけ声を忘れない
- 反射的に救助せず、周りをよく見て、少し待つ余裕を持つ
- 二次被害を避けるため、現場が安全でない場合は近づかない
- 血液などによる感染の可能性がある場合に備えて、未使用の手袋を常備しておく
- いざというときに慌てないように、日ごろから職場の救急計画を確認しておく
- 119番通報に備え、通報者が誰であっても正しく場所を伝えられるように、拠点の住所を掲示しておく



いざというときに大切な命を守るには? 正しい手順を実技で確認
実技では、人形を使って、乳児、小児、成人のためのCRP(心肺蘇生法)、レスキュー呼吸、AED(自動体外式除細動器)などを参加者が協力して実践。現場にいるつもりで、「周囲は安全です。呼吸はしていません。AEDと救急車をお願いできますか?」とかけ声をかけながら、習ったばかりの手順を確認していきます。
「CRPでの胸部圧迫は1分間に100~120回、5cm以上を目安に深く押しましょう」と講師に言われたとおりにやってみるものの、力の加減がわからず戸惑う人、想像以上に力が要ることに驚く人など、実際に体を動かしてみて初めてわかることがたくさんあります。
呼吸がない場合に行うレスキュー呼吸では、口対口の人工呼吸に使用できるフェイスシールド※を使用。子どもの扱いには慣れている保育士たちでも、顎を後屈させ、鼻をつまんで密閉しながらの人工呼吸は、どことなくぎこちない手つきです。
※傷病者との接触を防ぐだけでなく、傷病者からの呼気や嘔吐物などの逆流を防ぐように作られている携帯用マスク。
特に乳児の場合は、鼻をつまむ代わりに自分の口を大きく開けて乳児の鼻と口を同時にふさぐ必要があり、「えーと・・・乳児の場合はどうでしたっけ?」と手が止まる人も。また、周囲の安全確認を忘れたり、手袋をはめるのが後回しになってしまったり、緊急事態における一連の動作が決して簡単ではないことを痛感させられます。



研修を通じて命を預かるプロフェッショナルとしての自覚に変化
CPR、レスキュー呼吸を実践したあとは、生命を救う基本スキルとして、吐いたものなどによる窒息を避けるための回復体位を習得。この体位は、反応はなくても普段どおりの呼吸をしている場合に、気道を確保するのが目的です。
さらに、心肺停止状態の場合に救急車が到着するまでという想定で、胸部圧迫30回→レスキュー呼吸2回のサイクルを繰り返す保育士たちに、「疲労で続行不能になるまで中断せずに続けること」と講師。「これを続けるのはかなり大変!」ともらすと、「そうですね、実際には交代しながらやってください。体格の良さそうな人が現場の近くにいたら、代わってもらうといいですよ。レスキュー呼吸がうまくいかない場合は、胸部圧迫を優先してください」とアドバイスしていました。
そして、研修1日目の最後は、「のどの詰まり(専門用語でチョーキング)」について。軽度から重度まで、その対処方法を学びました。のどの詰まりは、保育園生活の中でも、比較的発生しがちなリスクのひとつ。講師の実演を見守る真剣なまなざしに、命を預かるプロフェッショナルとしての自覚が伺えました。



「きらめいと」とは?
「きらめいと」とは、ソラストで働く仲間たちの総称です。由来は、輝きを意味する「きらきら」と、英語の「mate(仲間)」。20年以上前、社内報の名称として社内公募から生まれた「きらめいと」は、いまやソラスト社員の代名詞ともなっています。
実際にソラスト社員は、それぞれが自分にふさわしい活躍の場を得て、きらきらと輝いています。一人ひとりが仲間意識を持ち、チーム一丸となって働いています。
人を元気にし、あしたを元気にするソラスト。多くの「きらめいと」が支えています。
コンテンツの内容は発表時のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
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