保育業界の悩ましい課題・現場で働く保育士の7つの深刻な悩みとは

保育業界は、女性の社会復帰としても人気のある分野と言われていますが、慢性的な人材不足にも悩まされている業界でもあります。実際現場で働く保育者たちが抱えるジレンマに焦点をあてて、特に課題となる7つのポイントからその実情と解決策について迫ってみました。

保育士の悩みや課題・保育士業界について課題7つ

保育士多忙化とそれに見合わない待遇

保育士の仕事は子どもの世話にあたる保育全般から、年中行事の開催に至るまで園内のほぼすべての管理を任されていると考えても過言ではありません。保育中も園児の様子や連絡事項を保護者に伝えるため、ノートへの記載や手紙などの細かい作業も重要な業務です。 保育施設では子どもたちの育成のために運動会やお遊戯会、お誕生日会や季節に合わせたイベントを開催します。この計画や準備、飾りつけの制作などすべて保育士にゆだねられる仕事です。保育全般の仕事は子どものお世話だけでなく広範囲に渡り、報酬に見合わない稼働を強いられているのが現状と言えるでしょう。

残業になりうる過度な作業

保育士は園児が帰宅した後にも盛りだくさんの作業が残っています。お遊戯やリズム体操といった催しを園児にさせる課題などがあると、振り付けを考えたり、衣装を用意したりするのは保育士の仕事です。勤務時間内に出来なかった作業は残業という形で取り組むことになり、保育士にかかる負担が大きくなるのです。

休憩時間が確保できない

保育士は園児がいる間は、たとえお昼寝時間といえども目を離すことはできません。園児が起きるまえに自分の食事を簡単に済ませて、保護者への連絡帳の記入や事務仕事に取り組むのがルーティーンになっているようです。ゆっくりと落ち着いた休憩を取れないという体制がマンネリ化して、保育士にストレスがたまる原因となっています。

保護者への対応で残業になる

教職員やお迎え時間帯の保育補助員などがいる施設でも、保護者へのコミュニケーションは基本的に保育士の任務です。預かりの子どもに何らかの原因で支障をきたせば、監督として保育士の責任になります。保育士自ら保護者への説明と謝罪の任務があるため、必然的に残業になることもしばしばです。

行事ごとの職員負担が大きい

保育士の仕事は多岐にわたります。平均的な幼稚園や保育園では年に大きな行事が3回あり、運動会、お遊戯会、作品展示会などがそれにあたります。これ以外にもお誕生日会、ひな祭り、クリスマス会や祖父母の会など細かい行事が盛りだくさん計画されているようです。イベント計画や遂行は全て職員の手によって行われるため、飾りつけ、衣裳製作、舞台設置などあらゆる作業をこなさなくてはなりません。作業は時間を要しますので残業や、自宅へ持ち帰っての作業を強いられるようになります。

膨大な書類処理

乳児や未満児クラスを担任する保育士は、子どもの成長記録を毎日残さなくてはなりません。子ども一人一人の様子を記すためメモ書きから文章に起こす手描きがほとんどになります。子どもの成長や課題、育児の狙いなど保護者が見て理解できるレポートにするため、一人A3やA4紙にも及ぶ文章量になることもあり、処理に非常に時間がかかります。

発達障害児への対応

保育施設に入園する子どもは先天的に発達障害を抱えている場合があります。しかし乳児や幼児のような子どもは性格形成途中であり、判断が難しい時期です。保護者でもかなり大きくなるまで気が付かないケースもあり、保育者の立場として可能性を認識しながら保育する配慮が必要となるでしょう。

保育所待機児童の現状と課題について

少子化が進むという現状でまだ待機児童が増え続け ているという奇妙な現状に注目しなくてはなりません。待機児童を軽減するため保育者増員を推奨していますが保育施設側は雇用者に十分な優遇処置で対応できていない矛盾が存在します。3つの課題解決が迫られる保育所待機児童問題について紐解いてみます。

用地確保問題による停滞

待機児童を縮小するための対策に許可保育所の建設を進める自治体は後を絶ちません。ただ用地確保に莫大な資金を要し、とくに地代の高い都市部では慢性的な保育施設の不足に悩まされている状態です。

規制と運営資金問題

保育機関を運営する場合、認可されると補助金が受けられるため申請をする保育所は後を絶ちません。しかし規制を実際にクリアするケースは少なく、自主運営の無認可保育園が多くなっています。保育料は必然的に高くなるほか、保育士への給与待遇も芳しくないため結局経営難に陥ると言ったシナリオが悪循環を招いています。

保育士不足

保育士不足は近年深刻な問題になっています。厚生労働省は現状を重くみて保育所1施設につき2人の保育士を置くことを新たに制定しました。また保育士資格がなくても同じ業務ができる保育補助を確保することを推奨するなど自治体のサポートも強く呼びかけています。

幼稚園・保育所の現状と課題4点から探る、女性の生き方・働き方へのニーズとは!

前述では保育士の抱える課題について見てきました。ここでは保育運営立場にある幼稚園、保育園の抱える根本的課題4つについて紐解き、女性の生き方や働き方へのニーズについて考えてみます。

1.保育機関の子どもの定員課題

日本総研が2017年に発表した保育ニーズの展望 についての資料によると、保育機関は都市圏では施設の不足が加速し、地方では児童不足が深刻化しているとしています。最近の傾向に公立、私立共に幼稚園に定員割れが見られ、2019年に新規開園したばかりの沖縄の市立こども園は園児不足を理由に閉鎖 を迫られるというニュースがあったほどです。0歳~2才の受け入れが超過する一方で東京都全体では、幼稚園1,004施設に対し、認定こども園は106施設しかなく、大阪府では幼稚園679箇所に対し、376もの認定こども園が存在し、少子化がすすむ地方で認定園が増加する傾向にあることが明らかになっています。(2016年4月の調査から)

2.認定こども園への移行の低迷

平成27年度からスタートした内閣府による 「子ども・子育て支援新制度」によって待機児童の解消に向け教育・保育の受け皿を増やそうという取り組みが行われています。特に待機児童軽減のために推奨されているのが、私立幼稚園の認定こども園への移行です。平成30年度の移行実績調査 によると、調査対象7,892園のうち移行に決定した園は29%、状況により判断の検討中が35.7%と全面的に移行への意思が固まっている施設は少ないという結果を表しています。

3.非正規雇用率による不安定な人材確保

平成29年度に実施された独立行政法人福祉医療機構のリサーチによると 、保育人材のアンケートで正規雇用率は平均で60%、非正規雇用30%、派遣社員約10%という結果が出ています。非正規雇用職員は事務業務が制限されており、保育以外の事務処理が正規雇用者のみにゆだねられるため、バランスの良い人事体制が整わない施設が多く存在します。

4.保育者の待遇改善の向上

保育サービスを提供する企業の調査によって明らかになった待遇について産経新聞の報告によると、保育士の72%が給与の安さによる人材不足を挙げています。2017年の改正で4%の上乗せが実施されているものの、保育者の希望収入は19万~21万に対し、現状は15万程度と格差を表しています。

保育現場の負担を軽減する対策

保育士に課せられた事務作業が大きな負担

保育士の残業は平成29年度の厚生省の調べでは月平均4時間となっています。しかし給与に反映しないサービス残業が40~60時間に相当するところもあり 、毎日平均2,3時間の残業をこなしている計算です。過度の残業は事務作業の多さが原因と考えられています。このような雇用体制が原因で離職につながるケースも少なくありません。

IT化対策で事務作業を簡略

最近では保育士の事務処理を支援するために、テンプレートを活用して請求関係入力や記録日誌などの記入ができるICTサービスが提供されています。スマホやタブレットから使用でき、1500施設以上が導入をしており、保育業界でもIT化を進めることで過度の残業を軽減できると期待が高まっています。

乳児保育の課題とは?求められる対策も

規制による環境整備が求められる

乳児保育は0歳から2才までの子どもの保育に携わることをいいます。実はこの乳児保育にあたる保育士は不足状態にあり、少子化でも待機児童が減らない原因だと指摘されています。国は「保育士確保プラン」 を提案し、6.9万人の保育士を確保するため、新たな取組を実施しています。推進方法は「保育士試験の年2回実施の推進」「保育士に対する処遇改善の実施」「学生への就職促進を支援」「保育士試験受験の学習費用を支援」「離職保育士に対する再就職支援の強化」といったところに焦点が当てられています。

また資格所有を促進するために、福祉系国家資格を有する者に対する保育士試験科目等の一部免除の検討をするなどして、キャリアアップへの支援にも力を注いできています。

保護者のケアも重要視

保育士や職員の仕事は子どもの保育だけに留まりません。子育ては子どもが関わる全ての環境に影響します。共働きで忙しい保護者が、子育てのプレッシャーや不安などを感じてしまうことがあります。保護者が管理できない保育施設での子どもの様子や課題など連絡帳という形で連携を取りながら進め、不安のない子育てを支援することも実は保育者たちに求められるスキルと言えます。

保育士の現場課題は多いがやりがいのある職業!

保育士の仕事は現代ではなくては、ならない重要なウエイトを占めてきています。実際の現場では課題も多く見られますが、子どもの保育に関わるということは私たちの将来を担う人材を育てているという大事な職業だという認識を忘れてはいけませんね。国も待遇処置や資格取得支援などに乗り出し、情勢の改革が期待されています。保育士は人を育てるお仕事としてとてもやりがいのあるポジション。将来性も明るく、幅広く活躍できる分野として注目されています。

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