重症化に注意!小児期のインフルエンザと保育園での感染病予防

初めは風邪と同じ様な症状で始まるインフルエンザですが、インフルエンザの方が発病も急で症状も進行が早く、熱も高い傾向があります。また、風邪に比べ、重症化の危険性が高くなっています。保育園や幼稚園など、小児期の子どもが多く集まる施設では、保育園勤務の看護師や、自治体・近所の病院等からの指導の下、保育士全員で流行予防に当たっていますが、やはり感染者が出てしまうことがあります。

ここでは子どものインフルエンザにおいて特に注意するべきこと、保育園での感染症対策と、家庭において普段から心掛けておくべきことをお伝えしていきます。

重症化に注意!5歳未満の小児期インフルエンザ

風邪に比べ、重症化の危険性が高いのがインフルエンザの恐ろしいところ。インフルエンザには「ハイリスクグループ」と言われる、重症化の可能性が高いグループがあり、そのうちの一つが5歳未満の小児期の子どもです。

インフルエンザのハイリスク群
・高齢(65歳以上)
・小児(5歳未満)
・妊娠中
・肥満
・基礎疾患がある(ぜんそく・糖尿病など)

出典:厚生労働省「新型インフルエンザのハイリスク群について」

大人にとってもインフルエンザは隔離期間で仕事に行けなくなったりと不便で辛いものではありますが、子どもの場合、思わぬ重症化や合併症につながる可能性が大人よりも高く、場合によっては命まで危険になることがあります。そのため、保育園でも、家庭でもインフルエンザには十分な注意が必要です。

子どものインフルエンザ重症化の危険性とは

急な高熱や寒気など、大人にとってもツライインフルエンザ。それでも、高齢だったりもともと持病がある方でない限り、危険な病気だとはあまり考えないでしょう。しかし、子どもの場合は大人とは違って、思いがけず重篤化してしまったり、合併症になってしまったりすることがあります。この記事では、中でも特にリスクが高い、インフルエンザからの肺炎と脳症について説明します。

肺炎

合併症のリスクの一つとして、肺炎があげられます。インフルエンザウイルスそのものが原因となることもありますが、インフルエンザに感染により身体の抵抗力が落ち、結果として細菌が肺まで届き、感染してしまうことによって肺炎が起こる場合もあります。

激しい熱や咳、「ぜーぜー」した苦しそうな呼吸音などの呼吸障害が主な肺炎の症状です。症状だけを見るとインフルエンザと一部共通しているので家庭で気づきにくいこともあります。呼吸が早くて息苦しそうだったり、実際に子どもが息苦しさを訴えている場合には、早めにお医者さんに相談してください。特に普段からぜんそくや気管支炎を持っている子どもの場合には注意が必要です。

インフルエンザ脳症(脳炎)

小児に多く、合併症の中でも非常に気を付けなければいけないのがインフルエンザ脳症です。なぜ、インフルエンザからインフルエンザ脳症になってしまうのかに関してはっきりと理由はわかっていません。しかし、毎年数百人単位で発症しており、しかもそのほとんどが5歳以下の小児期の子どもです。目が覚めているはずなのに呼び掛けても応えなかったり、視点が合っていない、意味不明なことを話し始める、ろれつが回っていない、急に感情的になる、急に走り出したりするなど、意識障害とみられる行動は脳症の症状の可能性があります。

通常のインフルエンザでも高熱によるけいれんや意識障害、異常行動などの症状が発生する場合があります。しかしインフルエンザ脳症は死亡率が10%程度ある上に、知能障害や運動障害などの重大な障害が残ってしまうことがあります。そのため、意識障害やけいれんが見られた場合にはすぐに病院に連れていくことが必要です。また、インフルエンザ脳症は入院による治療が必要になります。

子どものインフルエンザ症状は呼吸と脱水に特に注意!

一般的なインフルエンザの症状として挙げられるのは、初期は発熱、鼻水、のどの痛み、咳などです。これらは風邪と共通の症状ですが、インフルエンザでは急激に熱が高くなるのと同時に筋肉や関節に痛みが出てきます。高熱が出ないインフルエンザ(B型など)も出てきているようですが、多くの場合38度以上の高熱が出ます。大人だけでなく、子どものインフルエンザも基本的には同じような症状が出ます。

子どもの看病において、気を付けなければいけないのが脱水症状です。熱で水分を受け付けない場合や、おしっこの回数が少なくなっている場合は水分の摂取不足が考えられます。嘔吐や下痢があれば水分も同時に失っているため、さらに注意しましょう。子どもは身体が小さいうえに高熱を出しやすいため、大人以上に脱水が早く進んでしまうことがあります。

看病は体調だけでなく行動にも注意!

看病の際は、通常の風邪などと同じように消化の良い食事をし、暖かくしてしっかりと休めるようにしてあげます。それに加えて、脱水症状が出ないよう十分な水分を摂るように注意する必要があります。病院で処方される薬を医師に言われたとおりに使用し、特に熱の高いときには、合併症の危険が考えられる症状に十分注意しましょう。そのためには常に目の届くところにいること、定期的に様子を見に行くことが重要です。そうすることで、少しの変化にも気づき、早く対応することができるでしょう。

また意識障害・異常行動が起こった場合「急に恐怖心を訴え、外に出ようとする」などのケースもあります。急に行動して転落事故などが起こらないよう、窓や玄関にはしっかり鍵をかけておきましょう。

インフルエンザが治った後も、咳・鼻水による中耳炎や関節炎などの合併症が発生する可能性があります。完全に元気になるまで、目を離さずに見てあげましょう。

保育園で行うインフルエンザ流行予防対策とは

保育園でも、インフルエンザを含む感染病の予防のために対策をしています。まず行うのは、保護者への情報共有と協力のお願いです。インフルエンザの場合は子どもだけでなく、可能なら保護者にも予防接種を受けていただくように伝えます。また、園で実際にどのくらいの子どもたちが予防接種を受けたかを把握します。

感染病の流行る時期には、元気だとしても咳や鼻水などの症状がある場合には、登園の自粛をお願いする場合もあります。そして、感染が疑われた時の対処法や連絡について、家庭での予防についても、保育園で働く看護師が発行・監修する「ほけんだより」のプリントで情報共有を行います。

保育園では、普段から感染病の予防のためにこまめな手洗い・うがい運動を実施しています。インフルエンザなどの流行時期には特に徹底します。また、子どもたちの体調に普段以上に注意を払い、少しでも体調が悪そうに見える場合には検温などし、場合によってはマスクをつけさせたり、他の子どもたちと隔離して過ごさせたりすることもあります。病院と同じように「一動作・一消毒」を完全に実施することはなかなか大変ですが、保育園看護師の指導の下、ドアの取っ手や遊具などの消毒も実施します。

感染者が出た場合には、その旨を保護者などにも周知し、子どもたちの健康状態を家庭でもいつも以上に注意してもらうように伝えます。そうすることによって、子どもが体調が悪い場合にはすぐ気づき、家庭での療養に入ることができますし、他の子どもたちへの感染も防ぐことができます。

家庭でできる予防対策はやっぱり予防接種と手洗いうがい

もっとも効果が高い対策と言えるのはインフルエンザの場合、やはり予防接種でしょう。子どもは注射を嫌がりますし、予防接種をしてもインフルエンザにかかる場合があるのは事実なので、意味がないと考えている保護者も多くいるようです。しかし、やはりするのとしないのとでは重症化の危険において違いがあります。

インフルエンザにかかったとしても、重症化しないというのは合併症を防ぐためにも大事なことです。最近では、鼻スプレー型のワクチンもあります。注射と比べて痛みが少ない、効果期間が長いということで魅力がありますが、注射型の方が効果があると言われていたり、国内では未承認であり国の補償対象でないなどの点もあり、接種には十分な情報と検討が必要でしょう。

日常の中でできる対策もあります。手洗い・うがいは重要です。保育園ではインフルエンザの季節を教育の機会ととらえ、子どもたちに手洗い・うがいを習慣化させます。また、十分な睡眠とバランスの良い食事で、病気に対する免疫力をつけておくことはインフルエンザだけでなく、様々な感染病を予防するのに役立ちます。

インフルエンザの流行っている時期には積極的にマスクを使用しましょう。そして家庭内などの感染を防ぐためにも、子どもに咳やくしゃみをするときはできるだけ人から離れて、鼻と口をティッシュペーパーで抑え、すぐにごみ箱に捨てるように教えるのはとても良いことです。

これらの対策は、子どもだけが行うのでは意味がありません。ご両親・きょうだいなど家族全員で取り組み、家庭にインフルエンザウイルスを持ち込まないように気を付けましょう。

まとめ:感染病は保育園と家庭の連携で予防するのが効果的

保育園は抵抗力の弱い、小さい子どもたちが多く集まる場所です。インフルエンザなどの感染病が流行しやすい環境であるため、毎年インフルエンザシーズンには、保育士も非常に注意を払って感染防止に努める必要があります。また、小児期のインフルエンザは体力のある大人と比較して高リスクグループに含まれるため特に注意が必要です。

しかしながら、インフルエンザ流行シーズンは子どもたちに手洗いうがいやせきエチケットの教育を行うよい機会ととらえることもできます。家庭と連携して、保育園での流行を最小限に抑えましょう。

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