プール熱は夏だけじゃない!保育士が気を付けるべき感染防止策

保育士として子どもに関わる仕事をしていたり、保育士でなくても育児や子育てをした経験がある方であれば一度は「プール熱」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。原因菌の名称を取ってアデノウイルス感染症や、咳などの症状から咽頭結膜熱とも呼ばれる感染症です。感染力が強いプール熱は、手足口病と同様、保育園や学校などの集団行動施設で流行しやすい感染症です。ここでは、保育士がそんなプール熱の感染を防ぐ観点で気を付けたいポイントをまとめました。

プール熱とは?保育士なら知っておきたい基礎知識

プール熱とは

正式名称は「アデノウイルス感染症」。アデノウイルスによって引き起こされる感染症の中で、特に咽頭と結膜に炎症を起こすタイプの感染症のことです。

かつてはプールでの感染が多かったため、プール熱と言われるようになりましたが、最近ではほとんどプールでの感染はなくなっています。潜伏期間は一週間弱程度で、多くの場合その間に他の子どもと接することで感染していきます。通常、医師による判断と処方による投薬が始まれば、4・5日の間には症状は改善され、長くても2週間以内には回復します。プール熱という名前から、一般的には夏に流行る感染症だと思われています。確かに7・8月が流行りのピークになることが多いのですが、実は一年中を通して流行の可能性はあり、夏前や秋に流行することもあります。、特に10月以降に流行の可能性が高く、真冬は夏のピーク時と同じくらいの流行となる可能性もあります。ですから、一年中を通して注意する必要があります。

保育園でプール熱が流行りやすい理由は

ちょうどプール熱に感染しやすい年齢の子どもたちが集まっていることと、その感染力の強さが挙げられます。それぞれ詳しく見てみます。

プール熱の患者の半分以上は5歳以下の乳児・幼児だといわれています。ちょうど小学校に入る手前の、保育園・幼稚園に通う子供が感染しやすい年代と言えますから、保育園では十分な注意が必要です。

もう一つの理由は感染力の強さです。アデノウイルスは感染力が強く、飛沫感染、接触感染で流行が広がる可能性があります。子ども達はまだ自分で十分に感染予防ができないため、触れたものを通して、あっという間に他の子どもたちに広がっていってしまいます。感染している子どもがくしゃみや咳をしたり、目をかいたり、よだれが付いたりした手でドアノブやタオルに触れるなどすることで、簡単に菌が広がっていってしまいます。

こんな症状が出たら注意!プール熱の見分け方と結膜炎との違い

こんな症状が出たら注意!

プール熱の症状は、初めは急な発熱によって始まることがほとんどです。39度程度の高熱になることも珍しくはありません。発熱に引き続き、のどの痛み(咽頭炎)と結膜炎による目の充血、かゆみ、痛みなどが生じます。症状を訴えられない幼児の場合、目やにや涙の量などでも判断できるでしょう。この3つの症状が併せて出ることが多いため、プール熱は咽頭結膜熱と呼ばれることもあります。しかし、必ずこれらの3つの症状がすべて出るというわけでもなく、風邪などの他の病気と混同してしまうこともあります。判断が遅れると、感染力が強いため保育所で他の子どもたちに感染が広がってしまいます。以下のようにプール熱が疑われる場合は、すぐに医師による診断をしてもらうのが良いでしょう。

発熱・のどの痛みや咳・結膜炎による目の症状があり、通常の風邪より症状が長く続く
プール熱が流行しやすい時期である
家族や保育施設でプール熱に感染した人がいる

一般的な「熱・のど・目」の症状以外にも腹痛・下痢などの症状を伴うこともあります。ヘルパンギーナや手足口病と違い、水疱が見られることは少ないようです。生後間もない乳児でなければ重症化の危険性は少ないですが、咳から肺炎などにつながる可能性もないわけではありません。

何科に行ったらいい?

症状が複数出るので、どの科に行くべきか迷う保護者もいます。基本的には、内科か小児科で良いでしょう。原因菌となるアデノウイルスに特効薬はありません。そのため、医師に処方されるのは対症療法のための解熱剤や抗生剤、鎮痛剤などの薬になります。結膜炎の症状がひどい場合には、併せて眼科に行くと良いでしょう。

家庭で心掛けるべき点としては、水分補給と安静にして過ごすことです。咽頭炎によるのどの痛みがひどいと食事も大変なので、薄味で刺激の少なく、やわらかいものを食べさせ、免疫力を高めます。いずれにしてもしっかり医師に診断してもらい、治療しましょう。

保育園で気を付けたい感染防止のポイント

プール熱は学校感染症の1つに分類される感染症です。ウイルスの特徴は以下の通りです。

感染経路:飛沫感染・接触感染
潜伏期間:感染から2日程度潜伏
発症期間:4日~7日程度
発症後のお休み期間:症状が治まってから2日(学校保健安全法による)

プール熱はプールの水の残留塩素濃度が十分でなかったことにより、感染者と同じ水に入ることで感染が広がってしまうことがあり、そのことにより付いた名称です。しかし、最近では塩素濃度の管理がきちんと行われるため、原因はプール以外のことが多くなっています。

発症期間と出席停止期間をあわせると一週間前後に及びます。育児をしながら忙しく働く保護者にとって、一週間も子どもを預けられないことは大変なことと言えます。代わりに見てくれる人がいない場合、一日でも早く登園させたいのが本音かもしれません。しかし、治癒後2日間のお休みは学校保健安全法に定められたもの。他の子ども達への感染を防ぐためにも、時には園長先生や他の保育士スタッフと相談しながら保護者の理解を求めましょう。

拡大を防ぐために、保育士がすべきこと

主なプール熱の感染経路は接触感染と飛沫感染。ポイントをまとめると、以下の通りになります。

①こまめに殺菌消毒を行う
②アデノウイルスに効果がある消毒剤を選ぶ
③排泄物処理はマニュアルに沿って行い、保育士自身の消毒も徹底する
④園児にもこまめに手洗いうがいをさせる

子どもたちが触るものは定期的に消毒します。特に共有するおもちゃ、ドアノブ、手すりなどは消毒が必要です。タオルや食器も感染経路になりうるので、共有はしない方が良いでしょう。子どもたちが鼻をかんだり、目などを拭く場合には、できれば使い捨てのものを使用し、すぐに手を洗い、消毒するようにしましょう。保育士は、どうしても子どもの手に触れることが多くなります。自分自身もこまめに手洗いや消毒を心掛けるようにしてください。

消毒の際にポイントとなるのがアデノウイルスは非常に強いウイルスで、一部の消毒剤では効果がないことがあるという点です。一般的なアルコールでは効果がないものもあるので、プール熱の原因であるアデノウイルスに有効な消毒剤を使用し、殺菌された状態を保つことが重要です。

もう一つ注意が必要なのが、排せつの手伝いや、おむつの交換をした後のことです。実は、アデノウイルスは、症状が治まり、回復したように見えても、実は便からは一か月程度ウイルスが排出され続けることもあります。子ども自身に手洗いと消毒を徹底させるだけでなく、保育士自身もしっかり消毒まですること、そして、おむつの処理方法も、決められた手順に従い感染を防ぐことが重要です。

飛沫感染を防ぐことは難しいですが、園児にもこまめにうがいをさせることがポイント。集団生活においてせきエチケットを教えるなど、教育の機会と前向きにとらえてみましょう。

先述したとおり、プールは塩素濃度が管理されていれば、プール経由での感染の危険はそれほど高くありませんが、プールの後にはしっかり子どもたちにシャワーを浴びさせ、目を洗うようにすることが必要です。いずれにしても調理師・看護師などほかの職員とも協力して、園内の感染防止体制を整えましょう。

まとめ:感染症予防は保育園での過ごし方がポイント

プール熱はアデノウイルスの感染による病気ですが、子どもに感染しやすく、保育園などではきちんと注意していないと、あっという間に広がってしまいます。また、夏だけではなく一年中を通していつ流行してもおかしくない感染症です。

保育園では、普段から、手洗いや消毒を徹底することが大切です。隔離期間が終わり、登園してくるようになった後でも、感染の可能性があることを理解し、特におむつの処理は徹底するようにしましょう。保育士の仕事の中で、毎回の手洗いや消毒、タオルの交換は煩わしく思うこともあるかもしれません。しかし、重症化する危険性の少ないプール熱でも、身体の弱い子どもや、持病がある子ども、生後間もない子どもは重症化に気を付ける必要があります。 子どもたちや、その家族のためにもしっかりと予防と感染対策をしていきましょう。

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