勤務先の認証保育園が認可化?その時保育士が考えること

認証保育園とは、大都市圏ならではの保育サービスニーズにこたえるために東京都が設立した制度。これにより、駅前の便利な土地に長時間子どもを預けることができ、待機児童解消に一定の効力を発揮しました。しかし、2015年に子育て新制度がスタートしたことに伴い、認証保育園を認可保育園に転換する動きが広がっています。

この記事では、勤務先の認証保育園が認可化した場合でも、冷静に保育士としてのキャリアを考えるよう、認可化の背景について説明します。

東京都独自の制度、認証保育園とは

認証保育園(認証保育所)とは東京都独自の制度で、国の制度である認可保育園では対応しきれない、自治体独自のニーズに応えるために定められたものです。東京の認証保育園制度の特徴は、主に以下の3点です。

①通勤アクセスを考慮した駅前優先設置(基準面積の緩和)
②早期の職場復帰を応援するための低年齢児保育(0歳児保育)
③二重保育(預け先保育園のかけもち)解消のための長時間開所

これは、企業が多く集まり、人口が密集する大都市東京都独自の状況に対応するために設定された、国が定める認可保育園とは異なる基準となります。

また、認証保育園という名称は東京都独自のものですが、横浜市の横浜保育室制度やさいたま市のナーサリールーム制度、堺市のさかい保育室制度など、自治体ごとのニーズに応えるための制度は他の自治体にもあります。

認証園と認可園の違いは?園児に与える影響

認証園と認可園の違いは、以下の表の通りです。

認可保育所 認証保育所
定員
対象年齢
認可保育所の定員は60人以上です。(ただし、小規模保育所の場合は20人以上 認証保育所A型は駅前に設置することを基本とし、大都市特有の多様なニーズに応えます。(定員20人~120人、うち0歳~2 歳を1/2以上)
B型は、保育室制度からの移行を中心とし、小規模で家庭的な保育を目指します。(定員6人~29人、0歳~2歳)
0歳児保育 0歳児枠がない保育所があります。 0歳児保育を必ず実施していただくことにより、都民のニーズに応えます。
基準面積 0歳児・1歳児の一人当たりの基準面積が3.3㎡必要です。 弾力基準として0歳児・1歳児の一人当たり基準面積を2.5㎡まで緩和します。
料金の徴収先 区市町村が徴収します。 認証保育所が徴収します。
申込方法 区市町村に申込みます。 利用について認証保育所と保護者の間で直接契約をしていただきます。
改修経費の補助 株式会社を対象とする補助制度はありません。 A型のうち駅の改札口から徒歩5分以内のものについて、改修経費を補助します。
開所時間 11時間を基本としています。 すべての保育所に13時間以上の開所を義務づけています。これにより、二重保育の解消につながります。
サービス内容の説明 サービス内容についての説明義務は特に定めていません。 各認証保育所で、契約時に保護者へ「重要事項説明書」を渡し、サービスの内容や施設の概要、事業者の概要などを説明することを義務づけます。
利用者・都民に対する周知 認可保育所に対して設置認可書を交付していますが、掲示することを義務づけていません。 各保育所で、利用定員や開所時間などサー ビス内容を明記した「認証書」と基準に適合しているという「適合証」を玄関付近など利用者の見やすい場所に掲示することを義務づけます。

園児に与える影響は、元の認証園からの変更度合いによって異なります。直接的な影響としては、①少人数保育→多人数保育になる、②園児の定員が増えることにより、今までと違うお友達が多数入園する…などがあります。また、認可化によって開園時間が変更される場合、保護者の労働時間によって、残念ながら転園を検討するケースがあるかもしれません。

認可化による保育士にとってのメリット3点

平均給与が高い

認可保育園は認証に比べて、平均で年間3万円程度、給与が高いと言われています。これは、東京都で2015年から保育士のための補助金制度が始まったことにより、補助金が保育士の給与に還元されているため。世間的に、決して給与が高い業界ではないと言われる保育士さんにとって、少しでももらえるお給料が高いことは、嬉しいポイントです。

設備投資にお金をかけられる

認証保育園は部屋や園庭などの広さの基準が認可保育園と比較して緩和されています。そのため、認可保育園と比較して狭い・園庭がないなど、施設面で若干恵まれない場合があります。 認可化すれば保育園への公費助成金が増えますので、その分を設備投資に行えば、より環境の整った保育園になるでしょう。認可化によって園庭が新設されれば、保育士として子どもたちのために考えられる遊びやイベントの幅も増えるかもしれません。これは保育士にとってだけでなく、子どもたちにとってもとても良い変化だと言えます。

多くの園児と触れ合うことができる

認可園は小規模保育所を除き、園児の定員60人以上が義務付けられています。 また、園児1人あたりの基準面積も厳格に定めがあるため、園庭を備えた広い保育園が多いのが特徴です。たくさんの子どもたち、保護者と触れ合えますし、一緒に働く保育士さんも多いですから、自分の刺激になったり、キャリアアップ面でも好影響を与える可能性があります。

認可化による保育士にとってのデメリット3点

開園時間が短縮される

東京都の認証保育園は、都市部で働く保護者の労働時間/通勤時間を考慮して13時間以上開園することが必須条件となっています。これに対して、国が定める認可保育園は11時間開園が基本です。保育士の労働時間が短縮されるメリットがある反面、認可化によっていままでと同じシフトで働けないスタッフが出たり、時短パートさんの雇用に影響を与える場合があります。

園の特色が薄れる傾向

認証園は認可園と違い、受け入れる子どもたちの人数も少なく、比較的似通った家庭環境の子どもたちが集まる傾向があります。これに対して、定員が多い認可園は、地域のさまざまな収入・教育方針の家庭から子どもたちが集まります。認可をきっかけに子どもたちが持つバックグラウンド変化が出ることはあるでしょう。園の雰囲気が変わったと感じる場合があるかもしれません。また、認可保育園になることによって、今まで園の特徴や、方針として実施していた学習プログラムや、サービスとして行ってきたことができなくなってしまうということがあります。園の方針にひかれて就職を決めていた保育士さんにとっては、大きな変化となるでしょう。

少人数保育ができない

認可保育所の定員は基本60人以上ですが、認証園はA型(駅前基本型)が20人以上、B型(小規模、家庭的保育所)が6人以上という定めです。少人数の子どもたちををじっくり見たい保育士さん、アットホームな環境の中で働きたい保育士さんにとっては理想の保育とずれが生じる場合があります。

まとめ:認可化で起こる変化を事前に知って、キャリアプランを考えよう!

これまで認証保育園だった保育園が認可化することにより、園の運営に多くの変化が起こり、勤務している保育士も影響を受けることになります。そんな中、保育士は認可化に伴う子どもたちや保護者の不安に応えてなければなりません。ですから、事前に認可保育園について理解しておいたり、どんな変化が起こるかある事前に予想しておくのは良いことです。自分自身のキャリアプランのためにも、そうなったときに何を優先したいか、保育士として職場に求めるものは何かを事前に考えておくこともできるでしょう。

一方、認可化によってどの程度変化が起こるかは園によって様々であり、実際に認可化されたときに、はじめてわかる変化もあるでしょう。一見自分にとっては厳しいと思うような変化であっても、新しいスキルを身に着けることにつながったり、今後のキャリアに役立つようなこともあるはず。認証も、認可もそれぞれメリット・デメリットは存在します。変化を楽しみながら、やりたい保育を実現する方法を探していきましょう。

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