縦割り保育とは?少子化の今、異年齢保育で期待できる効果と保育士としての注意点

縦割り保育とは、子どもたちを年齢ごとのクラスに分けて行う集団保育に対して、クラスの中に様々な年齢の子どもたちを混ぜた環境で行なう集団保育のことです。別名で異年齢保育や混合保育とも呼ばれ、実際の社会に似せた状況に早くから子どもたちを慣れさせるために有効な教育方法だと言われています。ここでは自分と違う成長段階のお友だちと接することにより生じるメリット・デメリットを子ども・保護者・保育士の立場から解説します。

縦割り保育って何?実施によりめざす保育の形

縦割り保育(異年齢保育)は、1つのグループに、違う年齢の子どもを混ぜて行う集団保育のことです。「年上の子どもが、年下の子どもを教えたり、年下の子どもが、年上の子どもを頼ったりマネしたりする中で、新たな気づきや成長の機会を得られる」という考え方を基に実施されます。

縦割り保育は、1870年にイタリアで生まれた医学博士・幼児教育者である「マリア・モンテッソーリ」という女性によって生み出されたモンテッソーリ教育法をベースに実施されています。モンテッソーリ教育法は、「日常生活の練習」や「疑似的な仕事体験」を行うなど、子どもの自主性や社会性を重視した教育理念です。子どもが他者との違いを認めながら、互いに協力し合って生活し、学ぶ姿勢を身に着けることをめざして「縦割り保育」を導入する園も増えています。

園によって異なる縦割り保育の形態

一言に「縦割り保育」と言っても、保育所によって取り入れ方は様々です。大きく分けると(1)1つのクラスやグループに、異年齢の子どもたちを割り当てる園(2)そもそも「クラスを作らない」、完全な縦割り保育を行う園に分けることができます。

この(2)のように、グループ分けすらしない、徹底した形態の異年齢保育のことを指して、特に「混合保育」と呼ぶ場合もあります。しかし、こういった完全縦割り保育を実施している保育園は多くありません。現在、日本の保育園で縦割り保育を取り入れる場合、(1)を採用し、かつ「週のうち数日」だけとか、「一日のうち一定時間だけ」に区切って、縦割り保育を実施しているところが大多数です。

逆に、休日保育・一時預かり保育・延長保育などの場合、(教育的観点ではなく)園運営の観点から、結果として縦割り保育になっているケースも少なくありません。また、どこまでの年齢の子どもたちを一緒にするかという点でも様々な方法があります。0~1歳/2~6歳で分ける場合や、0~2歳/3~6歳といった形で分けるケースが比較的多いようです

縦割り保育で得られるメリット・デメリット

子どもにとって

○…社会性が身につく
○…協調性が身につく
×…年上の子ばかりがいい思いをするケースもある

縦割り保育のねらいは、子どもたちの社会性や協調性を育てることにあります。子どもたちはみな、将来、社会に出ていけば、当たり前にいろいろな立場・年齢の人と関わることになります。自分の立場を知り、どう他の人たちと接していくべきかを判断することは、社会でうまくやっていくために必要なことです。また、大人になってから社会性・協調性を身に着けることは大変なことです。子どものうちに自然に社会性・協調性を身に着ける訓練ができることは、子どもたちにとって大きなメリットとなるでしょう。

縦割り保育における子ども達が受けるデメリットは、保育士の目が行き届かない場合に発生する場合があります。低年齢児にとって「高年齢の子どもだけがパワーを持って、やりたい遊びを独占してしまう」、高年齢児にとって「発育レベルに合わない遊びばかりでつまらない」などはしばしば起こりがちなケースです。これらは、子どもたちが保育園に行くのがつまらなくなってしまう前に、きちんと保育士が対処すべき問題です。

保護者にとって

○…年上の子を見て自然に学んでくれる
○…異年齢の保護者と交流することで、育児の悩みに対処できることがある

実際に保育園届いた保護者の方の声の中に、「保護者がいくら教えても言うことを聞かなかったのに、年上の子どもに言われたことをきっかけに自分から進んでやるようになった」「一人っ子や下にきょうだいがいない子どもでも、自然に年下の子どもの世話をしたり、順番を譲ることを学んでくれた」というものがあります。少子化できょうだいや近所の子がいない場合、保育園で異年齢の子どもと遊ぶ機会を持てることは保護者にとってもメリットが大きいようです。

また「自分の子どもより上の年齢の子どもを持つ保護者と交流を持つことで、子育てのプレッシャーや心配、不安にうまく対処していくための助けになった」という意見もあります。

保育士にとって

○…異年齢保育のスキルが身につく
○…子どもに応じて、保育を工夫する余地がある
×…異年齢独自の気を使うことが多い
×…子どもが子どもの面倒を見ることへの不安

子どもにとってのデメリットとなる「高年齢児が遊びを独占するため、低年齢児がうまく遊べない」「低年齢児に合わせすぎて、高年齢児が物足りなさを感じる」という現象は、保育士が異年齢保育のスキルを持っていれば解消できる問題です。つまり、縦割り保育を担当し、保育士がこのように遊びや子どもへの接し方を正しく工夫することで、自然に自身のスキルを身に付けられ、転職時にも有利になるでしょう。

逆に言えば、通常の集団保育以上に気を使うポイントがあることが保育士としてのデメリットと言えるかもしれません。また、縦割り保育において「高年齢児が年下の子どもの世話をする」ことは、リスクが発生する場合もあります。高年齢といっても数歳しか違わない保育園児ですので、けがやいじめが起こらないよう、観察力や判断力はしっかり磨いておく必要があるでしょう。

面接のチェックポイント

縦割り保育に魅力を感じて転職するのであれば、面接で指導案についてしっかり確認しておく必要があります。つまり、縦割り保育によって子ども達に無用なストレス・物足りなさを与えていないか、異年齢ならではのリスクを回避するためにどんなことを心掛けているかを具体的に聞いてみましょう。

例えば、遊びの工夫であれば、図画工作なら、与えられたテーマが同じでも、それぞれの年齢に合わせてできることが違うため、子どもたちが年齢に合わせて楽しむことができます。また、ごっこ遊びは、様々な年齢層の子どもがいるからこそ役割を分担して楽しむことができます。大人数で遊べるゲームや昔ながらの伝承遊びは、年上の子どもが年下の子どもに教えてあげたり、助けてあげたりする良い機会になりますね。理念だけでなく、自分の求める保育の方向性と、実際に行っている保育の内容が合致しているか、確かめてみてください。

まとめ:子どもの社会性を伸ばし、より良い保育を!

縦割り保育を実施している保育園はまだまだ多くはありません。しかし、縦割り保育を行うことにより、子どもたちが早い段階から高い社会性を身に着け、集団の中で周りの人とうまくやっていける大人になるための教育を早くから始めることができます。少子化が進み、きょうだいの数が少なくなりつつある日本において、有益な保育手法の一つと言えます。

一方で、保育園の指導案がしっかりしていない場合、保育士がきちんと子どもたちを監督できなかったり、子どもが「保育園に行くのがつまらない」という思いをしてしまうこともありえます。ですから、縦割り保育を実施している保育園を選ぶ場合には、面接で指導案を十分に確認し、信頼できる園長先生や保育士のいる園を選ぶことがポイントとなるでしょう。

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