公立?株式会社?社会福祉法人?運営団体で選ぶ保育士のメリット・デメリット

一言で保育園と言っても、園の特色はさまざま。園によって特徴があるのはもちろんですが、その運営母体の違いによっても、保育士の勤務環境には違いがあると言われています。ですから、その違いを知り、自分の望むスタイルに合った運営母体の保育園を選ぶというのは、保育士として長く勤務する上での一つの方法です。

このコラムでは運営団体を大きく「自治体(公立保育園)」「株式会社(私立保育園)」「社会福祉法人(私立保育園)」の3つに分類。運営団体ごとの保育園の傾向と、保育士の働き方のメリット・デメリットについて考えてみます。

保育士として安定した身分と労務環境で働ける公立保育園

公立保育園で働くメリット・デメリットまとめ

◎正職員なら「公務員」としての待遇を受けられる
◎労務環境が比較的恵まれている。
?異動が多く、時には保育園以外への配属を迫られることも。

働く際のメリットとなるのは、公立保育園で働く保育士は正職員の場合「公務員」としての扱いになるということです。市や区が運営している保育園の保育士は、それぞれの自治体の公務員として、一般的な公務員と同じような待遇・福利厚生や年金制度を期待することができます。当たり前のことですが、自分の子どもができた際には、産休代理の保育士を確保するなどして、公務員としての規定通りに産休や育休を取ることができます。もちろん、このような制度は私立の保育園もありますが、まだまだ整備が十分でないところもあるので、これから出産などを考えている場合には大きな魅力でしょう。給料は私立と比較すると高いと言われていますが、こちらは自治体ごとに異なるので調査が必要です。

もう一つの公立保育園で働くメリットは、労務環境です。労務管理の面で安心できると言われているのが公立保育園です。十分な保育士がいれば、決まった分の週休がきちんととれたり、休暇制度を十分活用できます。「残業が多い」「持ち帰り仕事に忙殺される」という悩みを持つ保育士さんにとっては重要なメリットになります。

働くうえで考えるべきなのが、異動の有無です。異動に関してはメリットともデメリットともなりえます。公立の保育園で働く保育士は正職員(公務員)でも、非正規職員でも大体3年前後で異動があるのが一般的なようです。そもそも公立保育園の場合、自分の好きな保育園を選べるわけではなく、保育士に欠員が出た保育園に割り当てられるような形になります。自治体内の異動なので、通えなくて引っ越しが必要になることはほぼありませんが、時には児童関連施設への異動になり、保育園の仕事とは異なる業務をすることになることもあり得ます。子供たちの成長を長く見守っていきたいとか、保育園の雰囲気や指針が気に入っていて他の保育士たちとうまくいっているような場合には、異動はデメリットとなるでしょう。一方で、どんなに人間関係が難しくても数年で変わることや、色々な縁を経験できるということは様々な保育園で経験を積みたいと考えている保育士にとってはメリットと言えるでしょう。

理想の保育を追及しながら株式会社運営の保育園で働こう!

株式会社運営の保育園で働くメリット・デメリットまとめ

◎保育方針が明確なので、自分のやりたい保育に合わせて会社を選べる。
◎英語や食育などの教育的な内容を取り入れた保育が可能。
?給与や待遇は良化傾向だが、運営母体の経営状況に左右されることも。

株式会社は、2000年の規制緩和により、保育園運営に参入するようになりました。それまでの私立保育園の運営母体だった社会福祉法人と違って、会社であるということは、営利目的で保育園を運営することになります。これによって様々な違いが生じます。営利目的であるということは、お金を稼ぐことを目的とした保育園であるということです。株主の出すお金と保育園が稼いだお金が保育園で働く人の給料となり、子どもたちが快適に過ごすために必要な物の購入費になるということです。ですから、経営状態が保育園の状態に大きく関係してきます。株式会社による運営の保育園の場合、社会福祉法人と比べると、利用できる補助金の種類が少なかったりします。少子化の影響で都市部に増えてきた株式会社の運営する保育園ですが、地方ではまだまだこれからといったところです。

保育士にとって大きなメリットと言えるのが、運営方針がはっきりしているということです。様々な保育園の中で、株主に注目してもらい、収益を上げるためには、他の保育園との違いがはっきりしていることが重要です。そのため、園の保育方針をきちんと打ちだし、他とは違った幼児英語教育、リトミック、食育などの教育的な取り組みに力を入れている特徴のある保育園が多いでしょう。新しいアイデアやチャレンジも積極的に検討してくれる傾向があります。自分の目指す保育のあり方がはっきりしている保育士や、得意分野がある保育士にとっては、これは大きな魅力。また、園長職だけでなく会社員としてのキャリアアップを視野に入れることもできるかもしれません。

あとから業界に参入した株式会社運営の保育園にとって、十分な保育士を確保するのは簡単なことではありません。また、良い保育園を作るために、働く保育士にとって良い環境であることは重要です。そのために、保育士の待遇の改善に力を入れている株式会社運営の保育園が多くなっています。公立の保育園と比べて、環境の改善や変更にも積極的な傾向があります。しかし、収益が経営に大きく影響することから、経営状態が厳しい保育園などでは、保育士の給与や待遇が厳しいこともあります。

歴史ある保育園でスキルアップも?!社会福祉法人が運営する保育園

社会福祉法人運営の保育園で働くメリット・デメリットまとめ

◎社会福祉事業を行う団体として、営利だけにとらわれない経営ができる。
◎平均勤続年数が長く、安定して働ける。
?ベテラン保育士が多いことが、メリットにもデメリットにも感じられることがある。

以前は私立保育園というと、社会福祉団体(社会福祉法人)の運営する保育園でした。株式会社による保育園の運営が認められる前から、社会福祉団体による保育園は運営されてきたので、長い間続いてきた歴史ある保育園が数多くあります。長い期間をかけて築いてきた保育指針や運営理念は完成したものが多く、公立の保育園以上に人気が高い保育園も多くあります。

しかし、社会福祉団体は株式会社と違って営利目的ではないため、おもちゃなど備品にお金が使えないということもあります。新しくできないのは備品だけでないかもしれません。すでにしっかり保育園の指針が固まってしまっているので、新しく加わった保育士が子どもたちのために良いアイデアを思いついたりした場合でも、昔からやってきたことを変えるというのは難しいでしょう。自分でアイデアを出し、新しいことにチャレンジしたいと思う保育士には向いていないかもしれません。

また、社会福祉団体の運営する保育園は、働いている保育士も経験を持った保育士がそろっている場合が多い傾向にあります。経験を積みたいと考えていたり、年上の人とのコミュニケーションをとるのが得意な保育士にとってはベテランの保育士の経験から学べることができるのは一つのメリットです。しかし、一部の若い保育士にとってベテランの保育士の中で働くことは、プレッシャーを感じてしまったり、気を遣うことでストレスを感じ、デメリットとなってしまう場合もあるでしょう。

なりたい未来や保育士像に合わせて、保育園の運営団体を選ぼう!

運営母体による、それぞれの保育園で働くうえでの特徴についてみてきましたが、一概にどの運営母体が働きやすいということはありません。それぞれの保育園の運営母体毎にメリット・デメリットがあり、保育士によってそれがメリットと感じるか、デメリットと感じるかも変わります。そして、もちろん運営母体は一緒でも、保育園ごとに違う点もあります。保育士としてどのような働き方がしたいか、子どもたちとどのようなふれあい方をしていきたいか、どんな保育園で働きたいかなどを考えてみましょう。そうすると、どの運営母体の保育園が自分に合っているかが見えやすくなります。そのうえで、実際に情報を集めたり、気になった保育園を訪問してみたりすることで、希望の保育園が絞れてくるのではないでしょうか。

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